リップジプシー

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何も考えずにいられたことは幸せであった。

 

リップジプシーになってしまった。

それというのもバーツビーズが日本から撤退してしまったからだ。

 

口紅の代わりに色付きリップを使っていた、色付きリップというかバーツビーズ。

口紅塗ってます感がないのがとても良くて重宝していた。

あえて欠点を言うなら、欲しくなりすぎて色選びに困る事くらいか。

 

とにかく口にはバーツビーズさえ塗っておけば大丈夫!

 

…だが、もう大丈夫ではなくなってしまった。

 

バーツビーズがなくなり、代替バーツビーズを探さなくてはいけなくなった私は困った。

ドラッグストアのリップはなんか嫌。

そんなくだらない見栄があり、そうそうそこらのリップに手が出せない。

 

唇にやさしいものをと考えて、ママバターの色付きリップをよせばいいのに2色買い。

結果は。

どうにもこうにも私のお口はバーツビーズに慣らされているようで、色ぬってます感が強い。クレヨンみたい。

私のお口が悪いのか?

 

どうしたらいいのと思っていたら、バーツビーズの陰でひっそり使われていた普通のリップも使いきってしまった。

焦る焦る。

 

ドラッグストアでもいいです!この際!というのでベビーワセリン。

色はないけどテカるでしょう。グロスっぽいでしょう。

色が欲しけりゃママバターですよ。いい感じ!

 

半ばやけになっていたところマツキヨのリップを購入。日本のリップにしては珍しくゼラニウムの香りだったもので。

レジに並んだら色付きもあるもんだからリップジプシー、特に色付きのリップジプシーを自負する私は買うわけです。

 

「ものの少ない生活でしあわせ」は、とうてい私なんぞにはできない芸当だと今回思い知らされた。

リップ一つ使いきったらまた同じものを一つ買うという単純生活の有難み、そしてそんなふうに考えることを放棄していたがために一つ使い切って合計六つものリップを買いこんだ私。

でももう大丈夫。色付きリップがなくなったら今度はマツキヨにいけばいい。

 

ちなみにひっそり使っていたリップは前回購入店舗においてあったのでジプシーになる心配はいらない。

 

これでかれこれ3か月にも及ぶリップジプシー生活から抜け出せる。

さようならバーツビーズ、だけどいつか帰ってきておくれ。